ファスライ組Pにだって言いたいことぐらいある

そもそもこの『ファスライ組』って言い方も好きじゃないけど。




最近よく、いわゆる『セカライ組』『後発組』Pの匿名ブログだったりツイートだったりが話題になる。キャラ格差が疲れるというものだ。
まず、ファスライ・セカライ、先発・後発とはなにを以てして言うかというと、2015年12月6日に行われた、エムマスの初めてのライブイベント(以下ファスライ)が区切りとなっている。この日登壇したのは315プロダクション所属ユニットのデビューCDシリーズ『ST@RTING LINE(以下スタラ)』01~06のナンバリングに収録されている6ユニット19人。彼らを『ファスライ組』もしくは『先発組』といい、同シリーズ07以降のナンバリングのユニットを『セカライ組』もしくは『後発組』と呼ぶ。



何故ファスライに限られた人数しか出なかったのかと言うと、その時点でCDデビューまで果たしていたのがその19人しかいなかったからだ(07の彩、08のFRAMEはキャスト発表のニコ生自体はファスライ前に放送されたが、ボイス実装イベントやCDリリースはファスライ後だった)。もともと315プロダクションのアイドルには声がなかった。アイマス本家からの続投であるJupiterも、ゲームの中でその声が聞けるようになったのはもっと後だった。
ファスライ後にも順次キャストが発表され、ボイス実装、CDリリース、秋月涼キャスト続投やレジェンダーズ異例のスピードデビューを経て、ファスライから1年2ヶ月後、全ユニットが揃ってのセカンドライブ(以下セカライ)が開催。途中、サービス開始2周年を記念したCDが3枚だけリリースされたけど、ようやく全員の足並みが揃ったんだと思った。思っていた。


そのセカライではアニメ化が発表された。
サービス開始直後約半年にも及ぶ長期メンテ、アイドルゲームを謳っておきながらボイスは一切無し、なんとかCDデビューまでこぎ着けたものの、これがデビュー作というような新人ばかりを集めた初めてのライブ。『アイマス』ブランドであることを命綱に、サービス終了に怯えながらやってきたゲームが、ついにアニメ化の域にまで到達した。その喜びはひとしおで、アニメ化が発表された時はまさに熱狂的と表現するにふさわしいほどの盛り上がりを見せた。


雲行きが怪しくなってきたのはここからだった。
アニメ化に合わせて、告知のニコ生が定期的に放送されるようになった。放送ごとに新キービジュアルが1ユニットずつ公開され、同時にそのユニットをイメージしたギフトボックスの発売が発表された。そしてアニメの放送が開始したのが、セカライから半年後の10月のことだった。
そう、半年かけて1ユニットずつ、計6ユニットしかキービジュアルが公開されなかったのだ。ちなみに、アイドルたちが揃いの新規衣装を着て肩を組むメインビジュアルには、19人描かれている。
6ユニット19人、つまり、ファスライ組のアイドルたちだ。



アニメは、理由あって315プロダクションに集った19人のアイドルたちが、助け合い支え合い、時にはぶつかり合いながらも絆を深めていく物語となっていた。各ユニットの当番回や合宿回を挟みつつ、ドラスタを主軸に据えたストーリー展開がされており、また各ユニットの当番回では、ゲーム内に実際にあったイベントの衣装を着たり、そのイベントシナリオを彷彿とさせるようなシチュエーションで話が進んでいったり、あるいは限定カードのセリフを折り込むなど、長くゲームを遊んできたユーザーに嬉しいネタが仕込まれていることもあった。
最終回では6ユニット19人による初めての合同ライブが行われ、そのライブ会場もファスライが開催された舞浜アンフィシアターそっくりのステージになっていた。正に、(誤解を恐れない言い方をするならば)ファスライ組のためのアニメだった。


では、セカライ組が全く出てこなかったかというとそうではない。アイドルとしてデビューする以前から活躍していた著名人たちはテレビ番組に出演したり、テレビ局のスタジオですれ違ったり、他にも通学路の雑貨屋の店員や、お祭りに遊びにきた客の一人、橋の上をランニングするスポーツマンなど……背景の一部として登場した。
このアニメは「ファーストライブ」がゴールだ。現実のファスライに則せば、CDリリースがファスライに間に合わなかったスタラ07以降のユニットが、アニメでもCDデビューできていないという扱いにしたのも一理ある。しかし、彼らはデビューがまだどころか、アイドルですらなかった。


そしてアニメと言えば、OP・ED曲、並びに円盤特典CD……つまり新曲である。
メインキャラとして描かれた6ユニットには、当然19人歌唱のOP・ED曲と各当番回のED用の新曲が与えられた。円盤特典CDでは2ユニット合同の新規書き下ろしが1曲、また各ユニットに、他のユニットが歌う楽曲の録り下ろしカバーソングが1曲ずつ。合宿回で流れた3ユニット合同曲もアニメのために書き下ろされた新曲であり、アニメ放送の3ヶ月だけで1ユニット6曲(カバーソング含む)も持ち歌が増えたのだ。


一方で、セカンド組は3周年を記念したサードアニバーサリーCDを歌うことになった。9ユニットが3組に分かれて歌うこのCDには、3ユニット合同曲とそれぞれのユニット曲が1曲ずつ入っており、セカンド組の持ち歌は315プロ合同曲、スタラに加えて新しく2曲増えたことになる。


……さて、上の方で「サービス開始2周年を記念したCD」について少し触れたが、覚えているだろうか。
6ユニットが2ユニットずつ3組に分かれて発売されたこのCD、ここまでくれば、誰が歌ったものか察しがつくだろう。ファスライ組が歌っている。
セカンド組がサードアニバーサリーCDを歌ったところで、ファスライ組に並ぶどころか、追い付くことすらできない。



アニメ化を皮切りに同時多発的に開催されたコラボ企画も、アニメ化がきっかけなのだから、フィーチャリングされるのも当然ファスライ組だった。そのくせアニメが終わったあとも絶えることのないファスライ組をメインにしたイベントやコラボ企画の数々に、腹に据えかねる人たちが後を絶たないのはそういう経緯があるからだ。
そもそもとして、315プロには15ユニット46人のアイドルが所属している。そのうちファスライ組に該当するユニットおよびアイドルは半分にも満たないのだから、単純計算だがセカライ組担当Pやファンの不満の声が大きくなるのは当然というもの。


……けれど、ファスライ組Pにだって言いたいことぐらいある。



自分の担当はファスライ組にいる。推しもファスライ組だ。担当と推しが同じ画面に収まって、動いてボイス付きで会話までして、新しい衣装を着て踊り、新曲を6曲ももらった方のPだ。
それでも、不満ぐらいある。


「格差を無くしてほしい」というのは、自分も常々思っている。それは315プロアイドル全員が動いてしゃべって歌って踊るところを見たい、という素直な気持ちもあるけれど、正直、「めんどくさい奴が現れるのが嫌だからなんとかしてくれ」という気持ちの方が大きかったりする。というか、最近は専らそれだ。アニメにファスライ組しか出ないと判明した頃は、そんなこと考えたこともなかった。ただ純粋に、全員がアニメに出てほしいとしか思っていなかった。
要するに、疲れてきたのだ。最近の公式と、他のエムマスコンテンツのファンとの摩擦に。


贔屓されているくせになにを、冷遇されている身にもなってみろ、と思うだろうけど、それこそが一番の疲れる要因だった。


まず優遇や贔屓とはなにを以てして言うのか。
それはもちろん露出の多さだろうけど、ファスライ組の大半は声がつく以前から運営に贔屓されていた(と言われている)キャラたちだ。ファスライ組の全キャストが発表された頃……どころか、全ユニットのスタラがリリースされるまで、スタラのナンバリングは運営が贔屓したい順とまで言われていた。
つまり、ファスライ組の優遇や贔屓(に対する不平不満)は今に始まったことではない。自分の担当について運営や公式が集金に繋がると認知しているのはよく分かっているので、えげつないコラボ展開やイベントローテに投入されるのにも慣れている。しかし、ごくごく個人的な理由でゲームに対するモチベーションが下がってきていたところで、セカライ組Pの相次ぐ不平不満と、それを解消する気のない公式の動きである。
文句を言うなとは言わない。見せるなとも言わない。むしろ怒って当然だと思うし、自分ができないことは人には強要するつもりはないけれど、かといって怒っているを見て落ち込まないでいられるほど、人間もできていない。そしていつの間にか、最近のエムマスに疲れてしまった、と感じるようになった。



当て付けのように、ファスライ組Pは羨ましいというセカライ組Pのアカウントが話題になっていたと噂で聞いた。
事実なのでそう言われても「そうでしょう」としか返しようがないけれど、ファスライ組Pだってファスライ組ばかりが持ち上げられる現状に嫌気が差していることは、知っておいてほしい。


そもそもこの『ファスライ組』って言い方嫌いだし。